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2009年12月10日木曜日

東レと国立感染研が培養細胞由来C型肝炎ワクチンの効果と最適アジュバントを検証

東レ医薬研究所の森山正樹氏と国立感染研究所ウイルス第2部の脇田隆字氏らは、09年10月の日本ウイルス学会で培養細胞由来HCV粒子を用いたワクチンの免疫誘導能および最適アジュバントを検証した結果を発表した。

このHCVワクチンは、ジェノタイプ2aであるJ6/JFH-1キメラHCVをHuh-7細胞に感染させて、その培養上清からHCV粒子を大量に調製したものである。

~以下抄録から抜粋~

第57回日本ウイルス学会学術集会、2009年10月25日~27日、都市センターホテル

培養細胞由来HCV粒子を用いたワクチンの免疫誘導能および最適アジュバントの検討

森山正樹1,2、赤澤大輔1,2、尾見法昭1、中村紀子1、鈴木哲朗2、石井孝司2、脇田隆字2

1東レ株式会社医薬研究所、
2国立感染症研究所ウイルス第二部

【目的・意義】
C型肝炎ウイルス(HCV)はC型肝炎の原因ウイルスである。HCVが感染すると持続感染化してHCVキャリアとなり、慢性肝炎、肝硬変から肝癌に至る肝疾患を引き起こす。現在、ペグ化インターフェロンとリバビリンの併用療法が、C型肝炎治療の主流となっているが、遺伝子型1bのHCVを高ウイルス量保有する患者に対しては60%程度の有効性であり、現在の治療法に代わるあるいは併用効果のある新規治療薬の開発が望まれている。今回、我々はHCVワクチンの開発を目指し、培養細胞由来のHCV粒子を免疫抗原として、マウスにおけるワクチンの免疫誘導能を評価するとともに、種々のアジュバントについて有効性を検討した。

【材料・方法】
遺伝子型2aであるJ6/JFH-1キメラHCVをHuh-7細胞に感染させて、その培養上清からHCV粒子を大量に調製した。排除分子量500kDaの限外濾過膜を用いて培養上清の濃縮およびダイアフィルトレーションを行った後、ショ糖密度勾配超遠心法で分画することでマウス免疫用の精製HCV粒子を調製した。5週齢の雌性BALB/cマウス(n=5)にコアタンパク質量2pmoLのHCV粒子をAlum、CpG、poly I:CおよびSigma Adjuvant System(MPL+TDM)をアジュバントとして2週間毎に4回腹腔内投与した。免疫後のマウス血清を採取してHCVエンベロープタンパク質(E1/E2)に対する抗体価と、in vitroでのHuh-7細胞に対するHCVccの感染中和活性を調べた。

【結果・考察】
排除分子量500kbaの限外濾過膜による濃縮とショ糖密度勾配遠心法とを組み合わせることにより、高い精製度のHCV粒子が効率よく調製された。精製HCV粒子をマウスに免疫した結果、血清中に抗E1およびE2抗体の誘導が認められた。またHCV粒子を免疫したマウスの血清にはHCVccに対する感染中和活性が確認された。血清中の抗体価は、Alum、poly I:CおよびSigma Adjuvant Systemで高く、CpGを用いた場合では低い値となった。以上から、精製HCV粒子は免疫誘導能を有しており、最適なアジュバントと組み合わせることで、HCVワクチンとして使用できる可能性が示された。
 本研究は東レ株式会社医薬研究所、望月英典、西村和美、渋谷悠子との共同研究である。

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