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2010年3月10日水曜日

世界のC型肝炎治療剤の新薬開発動向

Behrad Derakhshan医師らは10年1月22日のScrip newsでC型肝炎治療剤の新薬開発を展望した。

WHOの予測によると、世界人口の3%以上(およそ1億8000万人)がC型肝炎に感染している。この大半が東アジアである。

医師らは、患者がHCV治療が必要であるかを評価する際に複数のクライテリアを注意深く検討する。

なかでも、HCV遺伝子型とウイルス量が最も重要な要因である。


遺伝子型には6つの主要型がある。遺伝子型1型が最も多く、治療をするのが困難である。患者プロファイルに関係なく、ペグ化インターフェロンα(PEG-IFN)とribavirin(Riba)との併用療法が全ての慢性HCV感染患者の標準的ケアである。

HCV治療の顕著なエンドポイントは、治療後24週目のHCV RNAが検出不可能となることを定義とした持続的ウイルス学的反応(SVR)である。

現在の標準的ケアだと、遺伝子型1型の未治療患者でわずか40~50%、遺伝子型2/3型患者で70~80%が成功裏にSVRに達する。

アフリカ系アメリカ人の患者、進行性肝臓疾患、肝臓被移植患者、HIV感染患者、遺伝子型4型患者、標準的ケア(SOC)非反応患者、合併症患者などのサブグループではさらに治療が困難になる。

治癒率、治療期間、不良なQOLを考えると、HCV患者の10%未満しかPEG-IFN/Riba療法に耐えていないということは驚きではない。

医師または患者がより治癒率の高い新規治療薬を待ってSOCによる治療を避けるという「patient warehousing」という現象が現れている。

Canaccord Adamsは、米で40万~50万人のHCV-warehouse患者がいると予測する。

パイプラインで研究の先を行くのが特異的標的抗ウイルス療法(STAT-C)である。STAT-Cの中でNS3-4Aプロテアーゼ阻害剤とNS5B RNA依存RNAポリメラーゼ阻害剤が最も注目を集めている。

第1世代直接作用型抗ウイルス化合物で先頭に立つのがVertex Pharmaceuticals社のtelaprevirとMerck社のboceprevirである。

これらの製品はいずれも大規模なフェーズ2試験でHCV血清RNAを大幅に減少させ、遺伝子型1型未治療患者で65~75%のSVRをもたらした。

しかし、これらの製品は完璧からほど遠い。

Telaprevirとboceprevirの副作用は望ましくない。

Telaprevirはステロイドにあまり反応しない重症の発疹、boceprevirは非常に高い貧血の発症率を伴う。

また、薬剤耐性HCV菌株の発現も懸念される。

インターフェロンとribavirinがこのリスクを緩和することから、少なくとも現時点ではこれらの薬剤はSOCと連動して使用されなければならない。

Roche社/Pharmasset社の新世代ポリメラーゼ阻害剤RG7128は耐容性があり、SOCとの併用で有意な有効性を示している。


しかし、telaprevirとboceprevirが未治療患者と非反応/再発患者で水準を引き上げたため、ポリメラーゼ阻害剤の注目はプロテアーゼ阻害剤の競合製品から併用剤に焦点が変わった。

Vertex社とBMS社は、それぞれのプロテアーゼ/ポリメラーゼ併用療法の試験を10年に開始する計画をしている。

3番目のクラスのSTAT-C分子はシクロフィリン阻害剤である。最も有望なDebiopharm社のDebio 025、Novartis社のNIM811、Scynexis社のSCY-635は、SOC、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤との併用で有望な結果を示している。


GlobeImmune社のGI-5005、Intercell社のIC41、Transgene社のTG4040などの治療用ワクチンの開発も進んでいる。

クリーンな安全性プロファイルと独特の作用機構により、これらの製品も低分子との併用剤として良い候補剤である。

HCV市場で勝つ製品を生産するには差別化が必須であることは明らかである。

企業は創造的な試験デザインに努力を集中する必要がある。プロテアーゼ阻害剤を開発しているのであれば、telaprevirやboceprevoiの基準に達しなければならない。

より良好な有害事象をもたらすことも臨床的に有意義である。

また、異なるメカニズムを併用することもよいかもしれない。

サブグループを標的としたデータを確立することも製品の差別化を助ける。

HCVは今後3~5年間で最も不安定な市場の1つとなるだろう。


企業はどのようにそれぞれのHCV剤の価値を実現できるだろうか?


企業は進化する市場展望の理解を深め、独自の製品に対する冷静な見解を持つことと、KOLの客観的なフィードバックを求めることが重要である。

これら全ての市場評価は、個別化剤のための創造的な開発戦略を満たすことを支援する。

慎重な市場分析と創造的な開発計画だけが新しいHCV製品を差別化させ、市場への正しい道を見つけることができる。

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