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2010年4月28日水曜日

米インターミューン社のHCVプロテアーゼ阻害剤RG7227がP2bで良好な結果

米インターミューン社は10年4月14日、Pegasys(pegylated interferon alfa-2a)とCopegus(ribavirin)併用時の慢性C型肝炎の治療効果評価を目的としたC型肝炎ウイルス(HCV)プロテアーゼ阻害剤danoprevir(RG7227, ITMN-191)のフェーズ2bの12週間時点での途中結果を発表した。


12週時点でウイルスレベルが検出限界未満だった患者の割合(complete Early Virologic Response達成率)はdanoprevir群では88~92%、プラセボ群では43%だった。


InterMune Press Release(2010.4.14)
http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=100067&p=irol-newsArticle&ID=1412804&highlight=

2010年4月23日金曜日

米インターミューン社とロシュ社がC型肝炎治療剤ダノプレビルのP2bの中間結果発表

米インターミューン社は10年4月14日、C型肝炎ウイルス(HCV)プロテアーゼ阻害剤danoprevir(RG7227/ITMN-191)の慢性C型肝炎を対象とするフェーズ2b試験の中間分析の結果を発表した。


この試験は提携パートナーであるスイスロシュ社が実施した。


試験では、慢性C型肝炎患者にdanoprevirとペガシス(ペグインターフェロンα-2a)、コペガス(リバビリン)併用投与を12週間行い、ペガシスとコペガスにプラセボを加えた治療を行ったコントロール群と比較した。


danoprevirの用量と投与処方は3種類(1日3回300mg、1日2回600mg、1日2回900mg)検討した。


中間分析の結果、HCVのRNAが検出限界以下になった抗ウイルス反応を示した患者数とパーセンテージは、1日3回300mg群(67例)では4週目に迅速な抗ウイルス反応(RVR)を示したのは49例(73%)、16週目に完全早期抗ウイルス反応(cEVR)を示したのは59例(88%)であった。


1日2回600mg群(65例)の4週目のRVRは56例(86%)、16週目のcEVRは58例(89%)。1日2回900mg群(50例)の4週目のRVRは43例(86%)、16週目のcEVRは46例(92%)。プラセボ群(30例)の4週目のRVRは2例(7%)、16週目のcEVRは13例(43%)であった。


ロシュ社ウイルス学臨床開発部門のFrank Duff部長は、今後のdanoprevirの開発では、本試験で検討された10%から25%を1日用量として、ritonavirとの併用を評価する計画。今回得られた薬物動態学、薬理学、安全性のデータは、これまで収集されたデータとともに、ritonavirブースト処方danoprevirの世界的開発プログラムに用いる最適用量と処方を決定するに当たって非常に有用なデータになると述べた。


大規模に3剤併用を検討したフェーズ2b試験は国内外の45ヵ所で実施され、24週あるいは48週の治療期間のうち12週間danoprevirを投与する治療の安全性と有効性を調査した。


232例の登録患者は4つのグループに割り振られ、このうち3つはdanoprevirを含む治療を受けるグループで、それぞれ1日3回300mg、1日2回600mg、1日2回900mgのdanoprevir投与とした。患者は12週間または36週間ペガシスとコペガスのみの治療を受けた後、12週間のdanoprevir、ペガシスとコペガスの併用治療を受けた。


残りの1グループはペガシスとコペガスのみの治療を48週間行うコントロール群である。


試験では、すべてのdanoprevir治療群で、12週間の治療中と治療後に同様の抗ウイルス反応が観察された。


最高用量の1日2回900mgを投与した患者の抗ウイルス反応は1日2回600mg群や1日3回300mg群と大きな違いは見られなかった。


同試験の安全性データの中間分析によると、深刻な副作用は4つのすべての治療群において同様に発生していた。


グレード4のALT値上昇の発生は、1日3回300mg群で0%、1日2回600mg群で1%、1日2回900mg群で6%、プラセボ群で0%だった。

danoprevir投与を行ったグループでは、これらのALT値上昇が6週目から8週目以降に一般的に発生しており、danoprevir投与を中止した後は元に戻った。900mg群はこの副作用の発生傾向によりdanoprevir投与を中止した。

また、グレード3・4の好中球減少症の発生率は1日3回300mg群で24%、1日2回600mg群で25%、1日1回900mg群で31%、プラセボ群で16%であった。発疹、貧血は、プラセボ群も含めた全グループで同程度の発生率であった。


インターミューン社は10年1月に、ritonavirブーストdanoprevirのフェーズ1b試験の有望な中間結果を発表している。この結果を受けて、今後インターミューン社とロシュ社によってdanoprevirと低用量ritonavirとの併用治療の開発が行われる計画である。


両社はritonavirブーストdanoprevirと通常治療(SOC)、ペガシス、コペガスの併用治療のフェーズ2b試験を10年第3四半期か第4四半期の開始を予定している。


インターミューン Press Release(2010.4.14)

http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=100067&p=irol-newsArticle_Print&ID=1412804&highlight=

2010年4月18日日曜日

米アマリロ社が経口インターフェロンαで印インタス社と提携

米アマリロ社は10年3月4日、インドのIntas Pharmaceutical社とライセンスサプライ契約を交わした。
Intas社はAmarillo社の経口インターフェロンαlozengesの二重盲検プラセボ対照フェーズ3試験を10年3月末までにインドで行う。

Intas社はインドとネパールでの売上に対するロイヤルティをアマリロ社に支払う。


Amarillo Biosciences Press Release(2010.3.4)
http://www.amarbio.com/Latest/amarillo-biosciences-and-intas-pharmaceuticals-sign-license-and-supply-agreement-to-use-oral-interferon-to-treat-influenza-in-india-and-nepal.html

2010年4月17日土曜日

米バーテックス社がHCVプロテアーゼ阻害剤テラプレビル+VX-222の併用P2を開始

米バーテックス社は10年3月1日、同社が研究中のリードC型肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害剤テラプレビルと同社が研究中のリードC型肝炎ウイルスポリメラーゼ阻害剤VX-222との併用での投与を評価する初の臨床試験を開始したと発表した。


このフェーズ2試験は、テラプレビルとVX-222のみを含む2種の薬剤でのレジメンを含めたテラプレビル/VX-222ベース併用療法の12週間response-guidedレジメンを用いて、持続的ウイルス学的著効を評価する。この試験は治療経験のないジェノタイプ1C型肝炎患者約100例を登録する予定である。

患者登録は10年第2四半期には完了する予定で、安全性およびウイルス動態データを含むこの試験からの臨床データは、10年後半に得られる予定である。


Vertex Pharmaceuticals Press Release(2010.3.1)
http://investors.vrtx.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=447807

2010年4月16日金曜日

世界のC型肝炎治療剤開発の現状

国立感染症研究所エイズ研究センターの上西理惠氏が、10年2月の医薬ジャーナル(46巻2号741頁)で現在開発段階にあるC型肝炎(HCV)治療剤開発の現状と、その将来動向について概説しています。


NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤は、構造上、(1)基質であるペプチド類似の非環状(acyclic、linear)のものと(2)環状(マクロサイクリック)のものの2種に分類される。

前者にはVX-950、SCH503034、後者にはBILN2061、ITMN-191/R7227、MK-7009が含まれる。これらは、いずれも活性中心のあるNS3側に作用するものである。

一方、ACH-806/GS-9132は、NS3の不可欠の補助因子であるNS4AとNS3との相互作用をブロックすることでプロテアーゼ活性を阻害するタイプの阻害剤である。


BILN2061(Ciluprevir;シルプレビル、ベーリンガーインゲルハイム社)は、最初に開発されたのは抗HCV剤としてプロテアーゼの基質ペプチドの構造アナログとしてデザインされた。

フェーズ2において、2日間の内服投与によって全症例でHCV-RNAが1/100~1/1000に減少するなど劇的な効果を示した。

しかし、BILN2061を4週間投与したサルに心筋毒性が出現し、その後の開発が中止されている。しかし、これは高い抗HCV活性を持つ化合物として最初に設計されたものであるというだけでなく、HCVプロテアーゼが治療標的としてviableは標的であることを証明したという意味で先駆的意義を持つ。


VX-950(Telaprevir;テレプラビル、バーテックス社)は、Boceprevirと並んで現在最も開発が先行している抗HCV剤である。

米FDAにて迅速に審査を進めるためのファストトラックに指定され、実用化が急がれている。

Peg-IFN/PBV標準療法との併用による3種のフェーズ2(PROVE1、2、3)が行われている。

治療奏効率(SVR)は、Peg-IFN/RBV併用療法のみの対照群に比較して約20%上回っている。

08年3月には、欧米を中心として、治療歴のないジェノタイプ1のHCV感染者1050例を対象とするフェーズ3(ADVANCE)が開始されている。10年後半に終了予定で、米FDA認可を目指すものである。

また、08年10月には、既治療例(無効群、一過性ウイルス消失群、ウイルス再燃群)を対象とする新たなフェーズ3(REALIZE)が始まっている。

日本でも08年秋からフェーズ2が開始されていて、実用化に最も近いSTAT-C治療剤となっている。なお、副作用として皮疹ラッシュの出現頻度が高い(12週で3~7%)ことが報告されている。


SCH503034(Boceprevir;ボセプレビル、シェリングプラウ社)も米FDAのファストトラックに指定されており、SPRINT-1と名付けられたフェーズ3が開始されている(08年5月)。

未治療のジェノタイプ1感染例が対象で、Peg-IFN/RBV 2剤併用4週後、Peg-IFN/RBV+Boceprevir 3剤併用した群の治療終了後12週時点のウイルス陰性率(SVR-12w)は74%と高い奏効率を示している。またPeg-IFN/RBV治療に反応しなかった357例での3剤併用でのSVRは14%と報告されている。

副作用としては貧血(ヘモグロビン減少)が知られている(Peg-IFN/RBVのみが33%に対して50%)。テレプラビルと並んで、実用化に最も近い治療剤である。


MK-7009(メルク社)は、BILN2061と類似したマクロサイクリック構造を持ち、プロテアーゼ活性中心に強力に結合する。高い阻害活性を示し、現在フェーズ2が進行中である。


SCH900518(Narlaprevir;NVR、ナルラプレビル、シェリングプラウ社/メルク社)は、非環状構造を持つ新薬である。09年11月よりリトナビル(Ritonavir;RTV)を加えた合剤(NVR/RTV)とPeg-IFN/RBVとの併用によるフェーズ2(NEXT-1)が始まっている。

もともと抗HIV治療用のプロテアーゼ阻害剤として開発されたRTVは、肝チトクロムP450-CY3A4に対する阻害効果があり、そのため併用薬剤の血中濃度を上昇させ、併用薬剤の薬理動態(PK)を改善・強化する効果を持つ。NEXT-1ではNVR/RTVは1日1回投与が試される
(注:HIV-1治療剤として現在最も繁用される代表的なプロテアーゼ阻害剤の一つであるカレトラKaretraは、本体のプロテアーゼ阻害剤であるロピナビルLopinavirの効果を強化するために少量のRTVが加えられた合剤(LPV/rtv)である)。


BI201335(ベーリンガーインゲルハイム社)は、強力なプロテアーゼ阻害剤の一つである。3%未満の患者のみがリバウンドした。Peg-IFN/RBVとの併用で1日1回投与によるフェーズ2(SILEN-C1)が進行中である。そう痒、黄疸、皮疹などの副作用が少数の被験者に報告されている。


TMC435350(Medivir社/Tibotec社)は、可逆的(非共有結合型)プロテアーゼ阻害剤でIFNα、ポリメラーゼ阻害剤と相乗的、RBVと相加的に働く。ジェノタイプ1の無効/再燃例にも単剤で有効と報告されている。最終の投与以降もウイルス量低下し続けていることが特記される。

現在フェーズ2aが進行中である。以上の新薬は、いずれも1日1回投与となる見込みで、Q8hが必要なテレプラビルやボセプレビルと比較して有利な性質を持っている第2世代のプロテアーゼ阻害剤である。


ACH-806/GS-9132(Acillion Pharmaceutical社)は、他のプロテアーゼ阻害剤がいずれも活性中心のあるNS3に作用するものに対して、プロテアーゼ補助因子であるNS4AのNS3への結合をブロックすることでプロテアーゼ活性を阻害するというユニークな作用機構を持つ化合物である。腎毒性が出現し、治療剤としての開発は現在中止されているが、NS4AとNS3との相互作用を遮断することでプロテアーゼ活性を阻害するという新しい作用メカニズムを示したという意味で、その開発の意義は大きい。

現在NS4Aを標的とする新薬の開発が継続中である。


ポリメラーゼ阻害剤は、(1)酵素の基質アナログとして働き、RNA鎖伸長反応を阻害してターミネーターとして作用する核酸系ポリメラーゼ阻害剤と、(2)酵素の活性中心とは異なるサイトに作用してアロステリックに阻害効果をおよぼす非核酸系ポリメラーゼ阻害剤の2つのカテゴリーに分類される。前者には、さらにヌクレオシドとヌクレオチド型の2種がある。このカテゴリーの新薬には、現時点でフェーズ3に進んでいるものはないが、いくつかの有望な薬剤が含まれる。


NM283(valopicitabine;バロピシタビン、Index Pharmaceutical社/ノバルティス社)は、NM107(2-C-meshyl-cytidine)の経口投与可能なプロドラッグ(3'-バリン・エステル)で、肝臓に取り込まれてからNM107に変換され、次いで肝細胞内の一連のキナーゼによって活性型の三リン酸型となって作用する。副作用として胃腸障害(悪心、嘔吐)があり、リスク-ベネフィットのバランスから開発は中止されている。


R1626(ロシュ社)は、R1479(4'-azidocytidine)の3'-位にトリ-イソブチリルエステルTri-isobutylesterが導入された経口投与可能なプロドラッグである。臨床治験で強力な抗HCV効果が証明されたが、安全性(貧血など)の問題から最近開発が中止となった。

R7128(ロシュ社)は、経口cytidineアナログPSI-6130(Pharmasset)のプロドラッグである。

これまでに開発された核酸系ポリメラーゼ阻害剤のいずれもが副作用のため、開発中止となっているが、このクラスの薬剤で現在生き残っている数少ない新薬の一つとして期待されている。

前述したように、R7227/ITMN-19(プロテアーゼ阻害剤)の組み合わせによるフェーズ2(INFORM-1)が開始されている(09年11月)。

これは、IFNを用いない治療法開発を目指した最初の治験であり、注目されている。また核酸系ポリメラーゼ阻害剤は耐性変異が出現しにくく、また薬剤間相互作用がそれほどないことから、非常に有望視されている。目立った副作用はないという。


IDX184(Idenix社)は、肝臓細胞に効率的に移行するような工夫がされた経口「肝標的型ヌクレオチド系プロドラッグである。

これまで述べた3種の阻害剤とは異なり、ヌクレオチド型ポリメラーゼ阻害剤である。核酸系ポリメラーゼ阻害剤が活性のある三リン酸型に変換される過程の律速段階は最初の一リン酸化のステップであることが知られているが、IDX184は2'-メチルグアノシン一リン酸(2'-MeGMP)のリン酸基がエステル化されていて、肝細胞に高率に取り込まれるような工夫がなされている。

それに加え、プロドラッグとして肝臓細胞内に取り込まれた後、保護基が除去され、律速段階である最初の一リン酸化段階をスキップして高率に活性型の三リン酸型(2'-MeGTP)に変換されるために、低濃度で高い抗HCV作用を示す新しいタイプの阻害剤である。治験の結果が待たれる。


NS5Bには、少なくとも4ヵ所のアロステリックサイト(サイト1~4)が知られており、それぞれbenzimidazole誘導体、thiophene 2-carboxylic acid誘導体、benzothiadiazine誘導体、benzofuran誘導体(HCV-371)の結合サイトとなっている。耐性変異は各サイトの周辺に集積して見られる。

これは、HIV-1逆転写酵素では唯一のサイトしか知られていないのに比べて、非常に大きな特徴である。先行して開発が進められていたHCV-796(ViroPharma社/Wyeth社)(肝臓毒性)(Benzofuran系)、BILB 1941(BI社)(胃腸障害)、GS-9190(Gilead社)(QT延長)は、それぞれ安全性の問題から開発中止を余儀なくされている。


GS-9190/PF-00868554(Filiburvir;フィリブルビル、Gilead/ファイザー社)は、強力な阻害剤(EC50値0.059uM)である。目立った副作用は報告されていない。有望な新薬の一つと期待されている。


ANA598(Adadys社)は、08年12月にファストトラックとしての認可を受け、09年7月よりフェーズ2が開始された。副作用としては、重度の皮疹が一部の被験者に報告されている。その他、XTL2125(XTL Pharmaceuticals社)、MK-3281(メルク社)などのフェーズ2が進行中である。


NS5A阻害剤は、IFN感受性や複製メカニズムとの関連が示唆されているが、その役割は依然明確ではない。NS5Aは宿主蛋白質との相同性が低く、特異性の高い薬剤の開発が期待される。
A-831(Arrow Therapeutics社/アストラゼネカ社)は、初のNSSA阻害剤で、インビトロでIRES依存性の翻訳反応を阻害する。フェーズ2に入っているとされているが、その後の報告はない。


BMS-790052(ブリストルマイヤーズ・スクイブ社)は、pMオーダーの強力な抗HCV活性を持ち、また、良好な薬理動態から1日1回投与の可能性が期待されている。目立った副作用は報告されていない。フェーズ2が08年10月より開始されている。


p7イオンチャネル阻害剤は、HCVがコードするウイルス蛋白質p7で陽イオン・チャネルの機能を持ち、ウイルス粒子の成熟・放出に関与するいわゆるviroporin(ウイルス由来のチャネル蛋白質)ファミリーの一つと考えられている。長鎖アルキル側鎖を持つイミノ糖(NN-DNJなど)は、このイオンチャネルの阻害剤としての機能を持つことが報告されている。

このカテゴリーの新薬として開発が進められていたのがUTー231B(United Therapeutics社)であるが、現在開発は中止されている。おそらく十分な有効性が証明されなかったためと考えられる。このカテゴリーの薬剤としては、その他BIT225(Biotron社)が開発途上にある。


作用機構の詳細が明らかではないが、Peg-IFN/RBVとの併用標準療法の効果を増強する可能性が期待される補助的治療薬として治験が進められているものがNitazoxanole(Alinia社)とSibininである。


Nitazoxanide(Alinia社、Romark社)は、cryptosporidiumやGiardia感染による下痢症治療剤として米で承認されたThiazolide系抗寄生虫剤である。エジプトでの寄生虫感染症の治療経験からHBV(B型肝炎ウイルス)、HCV双方に対して抗ウイルス効果を有することが明らかとなった。

抗ウイルス機構の詳細は不明であるが、直後の作用ではなく、間接の作用と考えられている。

宿主のdouble-stranded RNA-activated protein kinase(PKR)の活性化による翻訳阻害(IFN pathwayの賦活化)による作用であるとの報告がある。

エジプトでのジェノタイプ4の感染者に対する試験では、IFN/RBVによる標準療法との併用で高いSVR(79%)が報告されている。

また、RBVを含まない場合にも標準療法と同程度(61%)の高い効果を示すという。目立つ副作用は報告されていない。現在米でPeg-IFN/RBVとの併用によるフェーズ2(STEALTH C-2、C-3)が進行中である。


シルビニン(Silbinin;Sil)は、アザミ科の植物Milk thistle(silybum marianum)から抽出されるシルマリンSilmarinとよばれるフラボノリグナンFlavonolignans(silibinin A、B、isosilibinin A、B、silicristinやsilidianinが含まれる)の一つで、HCVレプリコンに対して阻害効果を持つことなどから、NS5Bポリメラーゼに対する阻害によるものと考えられている。

天然由来の比較的安全性の高い薬剤で、難治症例に対しても、IFN/RBV療法と併用することで、高い治療効果を示すことが報告されている。現在フェーズ2が進行中である。

2010年4月15日木曜日

米イデニクス社09年通年実績を報告、増収確保

米イデニクス社の最近の主な事業ハイライトです。


・09年11月、未治療HCV1型患者を対象に、ペグ化インターフェロンとribavirinと併用で肝臓標的HCVヌクレオチドプロドラッグIDX184の評価を行うフェーズ2a試験を開始。

・10年1月、HCV非ヌクレオチドポリメラーゼ阻害剤IDX375の二重盲検プラセボ対照フェーズ1試験の5つのコホートから、健康なボランティアで良好な薬物動態と安全性プロファイルが示されたことを発表した。

・09年12月、ヨーロッパでIDX320の臨床試験申請を提出し、健康なボランティアを対象にHCVプロテアーゼ阻害剤IDX320のフェーズ1二重盲検プラセボ対照試験を現在行っている。

・非ヌクレオチド逆転転写阻害剤GSK2248761/IDX899のフェーズ2b試験が10年に開始される予定。


イデニクス社の会長兼CEOのJean-Pierre Sommadossi氏は、
「GSK社によるGSK2248761の開発の進歩と、主要な3つのHCV臨床候補剤をヒト試験に持ち込んだ我々の成果に喜んでいる。GSK社がGSK2248761のフェーズ2b試験を開始することと、我々のHCVプログラムから複数の計測値が出されるのを楽しみにしている」と述べています。


Idenix Pharmaceuticals Press Release(2010.2.25)
http://ir.idenix.com/phoenix.zhtml?c=131556&p=irol-newsArticle&ID=1395766&highlight=

2010年3月31日水曜日

日本たばこ産業が、C型肝炎治療剤JTK-853の海外フェーズⅠ開始

日本たばこ産業は、C型肝炎治療剤JTK-853の海外フェーズ1を開始した。

JTK-853は、C型肝炎ウイルス(HCV) RNAポリメラーゼ阻害剤で、HCVの増殖に関る酵素であるポリメラーゼの働きを阻害し、ウイルスの増殖を抑制する。経口投与製剤。

世界でのC型肝炎感染者数は、1億5000万員~2億人、
国内は200万人と推定され、現在の一般的治療法は、インターフェロン製剤で、
効果的な治療法は確立していない。

2010年3月22日月曜日

米アナディス社の慢性C型肝炎治療剤ANA598が進行中P2で明確な効果示せず

米Anadys Pharmaceuticals社は10年2月24日、

未治療のジェノタイプ1型C型肝炎ウイルス感染患者を対象にしたANA598の進行中フェーズ2の12週時点での抗ウイルス効果を発表した。

12週時点で検出限界未満(早期完全ウイルス学的反応、EVR)を達成した患者の割合は
ペグインターフェロンとリバビリンにANA598を併用したグループでは73%、
プラセボを併用したグループでは71%だった。

ANA598群とプラセボ群のcEVR達成率がほぼ同じだったことは被験者数が少ないことに起因しているかもしれないとAnadys社は述べている。

ANA598はHCV RNAポリメラーゼの非ヌクレオシド阻害剤。

Anadys Pharmaceuticals Press Release(2010.2.24)
http://www.anadyspharma.com/pr_pdfs/ana598%2012-week%20results%202.24.10%20final.pdf

2010年3月21日日曜日

米レグルス社がGSKとマイクロRNA標的C型肝炎治療剤で新たな提携

米Regulus Therapeutics社は10年2月25日、C型肝炎ウイルスの感染に必要なマイクロRNA・miR-122を標的とするマイクロRNA治療の開発/販売に関するGlaxoSmithKline(GSK)社との提携を発表した。

Regulus社は米Alnylam Pharmaceuticals社と米Isis Pharmaceuticals社が設立したマイクロRNA薬開発ジョイントベンチャー企業。

この提携により、Regulus社は契約金と成功報奨金を合わせて総額1億5000万ドル以上を手にする権利を得る。08年4月にRegulus社は炎症性疾患治療マイクロRNA標的薬の開発でもGSK社と提携している。

Regulus Therapeutics Press Release(2010.2.25)
http://www.regulusrx.com/news-events/press-release-details.php?id=34

2010年3月20日土曜日

米バーテックス社、10年中にHCV治療剤テラプレビル申請目標

米Vertex Pharmaceuticals社は10年2月4日、09年12月期までの通年業績と最近のC型肝炎と嚢胞性線維症プログラムの開発について発表しました。


Vertex社の会長、社長兼CEOであるMatthew Emmens氏は、「我々の主要フォーカスはtelaprevirのフェーズ3開発プログラムを完了して10年下半期にNDAを行うことである。

これに加え、telaprevirとVX-222の併用レジメンを評価する臨床試験を開始する計画をしている。この試験の中間データを10年第3四半期に獲得することを期待している」と述べた。


最近の臨床開発状況は次の通りである。


・telaprevirのフェーズ3 ADVANCE、ILLUMINATE、REALIZE試験で全ての試験薬剤の投与を完了し、治療後フォローアップ期間に入った。

・米FDAやその他の規制当局との話し合いが終われば、telaprevirとVX-222の併用試験を10年第1四半期に開始する計画である。

・嚢胞性線維症を対象としたVX-770のフェーズ3 STRIVEの登録を完了し、G551D変異を有する12歳以上の患者が登録された。

・VX-770のフェーズ2 DISCOVER試験の登録を完了し、F508del変異を有する12歳以上の患者が登録された。

・VX-770のフェーズ3 ENVISION試験の登録は10年上半期に完了される見込みで、G551D変異を有する6~11歳の患者が登録される。

・VX-809とVX-770の併用試験を10年下半期に開始する計画で、F508delを有する患者を対象に行われる。

・リウマチ性関節炎を対象としたVX-509とてんかんを対象としたVX-765のフェーズ2POC試験の中間データが早くて10年下半期に出される予定である。

Vertex Pharmaceuticals Press Release(2010.2.4)


http://investors.vrtx.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=443116

2010年3月19日金曜日

米バイオレックス社がC型肝炎治療剤ロクテロンの2つのP2bの中間結果発表

米Biolex Therapeutics社は10年2月10日、同社のリード製品候補である慢性C型肝炎治療剤Locteronの2つのフェーズ2b試験から得た中間結果が10年4月に開催される第45回欧肝臓学会(EASL)でオーラルおよびポスタープレゼンテーションとして受理されたと発表しました。

制御放出インターフェロンα-2bであるLocteronは、より利便性の高い2週1回投与スケジュールが可能で、ペグ化インターフェロンに関連したインフルエンザ様症状を低減することによって、患者治療を改善するようデザインされている。

これら2つのフェーズ2b試験の目的は、ウイルス動態と、少なくともPEG-Intronに等しい反応を証明しつつ、インフルエンザ様有害事象を少なくとも50%低減することである。

EASLで発表される中間結果は、Locteron 320、480、640μgを評価するSELECT-2投与量決定試験と、480μgをさらに評価する480試験から得たものである。

EASLの制限要件にしたがい、発表の前に同社が試験の結果を公表する予定はない。

Biolex Therapeutics Press Release(2010.2.10)

http://www.biolex.com/pdfs/Biolex%20Locteron%20EASL%20Presentation%20Acceptance%20-%2002-10-10.pdf

2010年3月17日水曜日

C型肝炎治療製剤 製薬会社の開発動向

企業:Vertex Pharmaceuticals社/ViroChem Pharma社


取引発表日:09年3月

製品:VCH222、VCH759

作用機構:NS5Bポリメラーゼ阻害剤、NS5Bポリメラーゼ阻害剤

開発ステージ:フェーズ1、フェーズ2

取引内容:企業買収4億500万ドル(このうち現金は1億ドル)



企業:ZymoGenetics社/BMS社

取引発表日:09年1月

製品:ペグ化インターフェロンlambda

作用機構:組換えインターフェロンlambda(IL29)

開発ステージ:フェーズ1b

取引内容:8500万ドルの契約一時金と2000万ドルのライセンス費用、4億3000万ドルの開発承認マイルストーン、2億8500万ドルの販売マイルストーン



企業:Gilead Sciences社/LG Life Sciences社

取引発表日:07年11月

製品:LB84451

作用機構:カスパーゼ阻害剤

開発フェーズ:フェーズ2a

取引内容:2000万ドルの契約一時金、最大1億8200万ドルの開発、承認、販売マイルストーン



企業:Enanta Pharmaceuticals社/Abbott Laboratories社

取引発表日:06年12月

製品:非公開

作用機構:NS3-4Aプロテアーゼ阻害剤

開発ステージ:前臨床

取引内容:5700万ドルの契約一時金、2億5000万ドルのマイルストーン、二桁台のロイヤルティ



企業:InterMune社/Roche社

取引発表日:06年10月

製品:ITMN-191

作用機構:NS3-4Aプロテアーゼ阻害剤

開発ステージ:前臨床

取引内容:6000万ドルの契約一時金、4億7000万ドルのマイルストーン、Roche社は開発費の67%を負担する。米の利益を対等に分配する。InterMune社は米以外の売上のロイヤルティを受け取る



企業:Human Genome Sciences社/Novartis社

取引発表日:06年6月

製品:Albuferon

作用機構:長期作用型アルブミンインターフェロンa2b

開発ステージ:フェーズ2

取引内容:4500万ドルの契約一時金、5億800万ドルのマイルストーン、米の利益を対等に分配、Human Genome Sciences社は米以外の売上のロイヤルティを受け取る



企業:Vertex社/J&J社/田辺三菱製薬

取引発表日:06年6月

製品:telaprevir(VX-950)

作用機構:NS3-4Aプロテアーゼ阻害剤

開発ステージ:フェーズ2

取引内容:1億6500万ドルの契約一時金、3億8000万ドルのマイルストーン、J&J社は開発費用の50%を負担する。Vertex社は米以外の売上に対する20%半ばのロイヤルティを受け取る

2010年3月16日火曜日

C型肝炎治療剤開発の課題

Behrad Derakhshan博士らは10年2月5日発行のScrip誌(no.3472:29-31頁)で全世界のC型肝炎治療剤の開発動向を展望しています。


WHOの推定によると、現在世界の人口の少なくとも3%(およそ1億8000万人)がC型肝炎(HCV)に感染している。

この大半は東アジアである。患者のおよそ70%が慢性HCVを有する。

このうち一部の患者が、肝細胞癌(HCC)や最終的に肝臓移植を必要となる肝硬変などのより厄介な肝臓続発症を発症する。HCVの有病率は地域によって異なり、診断率は依然としてほぼ等しいのが現状である。HCV感染患者で診断されるのは50%未満である。

医師らはHCVを診断する際に複数の判定基準を慎重に考慮する。

最も重要な要因なのが、HCV遺伝子型とウイルス量である。

HCVには主に6つの遺伝子型がある。遺伝子型1型が最も多く、治療をするのが最も困難である。

しかし、患者プロファイルに関係なく、ペグ化インターフェロンα(PEG-IFN)とribavirin(Riba)の併用療法が全ての慢性HCV患者に対する事実上の標準的ケア(SOC)となっている。

HCV治療の顕著なエンドポイントは、全ての治療コース(一般的に遺伝子型1型患者で48週間、遺伝子型2/3型患者で24週間)が完了した24週間後の検出不能なHCV RNAを定義とする持続的なウイルス反応(SVR)である。現在のSOCでは、遺伝子型1型未治療患者のわずか40~50%と遺伝子型2/3型患者の70~80%しかSVRに成功裏に到達しない。

特定のサブグループでは治療がさらに難しくなる。これらのサブグループには、アフリカ系米国人患者、進行性肝臓疾患を有する患者、肝臓被移植患者、HIV患者、遺伝子型4型患者、SOC非反応患者、併発疾患(非アルコール性脂肪肝疾患など)を患っている患者が含まれる。

さらに、PEF-IFN/Ribaで最も多い有害事象であるインフルエンザ様症状、うつ病、貧血がPEG-IFN/Riba治療の壁となり、最終的に患者のコンプライアンスと再発に影響をもたらす。

従って、治療を開始する決定は、有害事象が多く効果が十分ではない長い治療に耐えることができる患者の意欲に一部依存する。

治癒率、長期治療期間、乏しいQOLを考慮すると、診断された全てのHCV患者の10%未満しかPEG-IFN/Riba療法に耐えていないということは驚きではない。

また、医師または患者が高い治癒率の新規治療薬を期待してSOC療法を見合す「patient warehousing」現象が出ている。

Canaccord Adams社は、米におけるこれらのpatient warehousing患者数は40万から50万人の間あたりだろうと推測する。

研究の最前線を行くのが、HCVの特異的標的抗ウイルス療法(STAT-C)である。
STAT-C分子の中で最も注目を集めているのが、NS3-4Aプロテアーゼ阻害剤とNS5B RNA依存RNAポリメラーゼ阻害剤である。

そして、直接作用型抗ウイルス剤の第一世代剤の中で先頭に立つのが、Vertex Pharmaceuticals社のtelaprevirとMerck社の(旧Schering-Plough社の)boceprevirである。


これらの製品は大規模なフェーズ2試験でHCV血清RNA値を大幅に減少させ、遺伝子型1型未治療患者で65~75%のSVRをもたらした。

Telaprevirの場合、遺伝子型1型未治療患者の治療期間を48週間から24週間に減少させたことは医師と患者の両方から歓迎される。

プロテアーゼ阻害剤に続く、さまざまな薬剤が市場シェアを競っている。

Roche社/Pharmasset社のRG7128などの新世代ポリメラーゼ阻害剤は、忍容性があり、SOCとの併用で有意な有効性を示している。


しかし、telaprevirとboceprevirが未治療患者と非反応/再燃患者でのレベルを上げていることから、ポリメラーゼ阻害剤への注目はプロテアーゼ阻害剤の競合品からプロテアーゼ阻害剤の併用剤に焦点が変わった。

Roche社/InterMune社のフェーズ1 INFORM-1試験(RG7128/ITMN-191)に反映されるように、ポリメラーゼ阻害剤とプロテアーゼ阻害剤の併用戦略はPEG-IFN/Riba代替レジメンとしての可能性があることから有望である。

Vertex社とBMS社は、自社のプロテアーゼとポリメラーゼの併用試験を10年に開始する計画
である。

もう1つの注目されているSTAT-Cは、シクロフィリン阻害剤である。

最も有望なDebiopharm社のDebio 025、Novartis社のNIM811、Scynexis社のSCY-635は、さまざまなフェーズの臨床開発でSOCとプロテアーゼ阻害剤とポリメラーゼ阻害剤の併用剤として有望な結果を示している。

GlobeImmune社のGl-5005、Intercell社のIC41、Transgene社のTG4040などの治療用ワクチンも臨床試験で大きく進んでいる。


有望な安全性プロファイルと独特の作用機構をもって、これらの製品は低分子との併用療法候補でもある。

しかし、telaprevirとboceprevirの強力な臨床プロファイルと先発者としての利益を考慮すると、新しい薬剤に依然として将来性があるのだろうか?という疑問が残る。

著者の見解では、HCVパイプラインの変化を考えると第一世代プロテアーゼ阻害剤はHCV市場を独占しない。反応誘導療法は推進力を得ている。

医師らは既に治療期間を調節することによって特定の患者に合わせたPEG-IFN/Riba療法を行っている。

Telaprevirとboceprevirやその他のプロテアーゼ阻害剤の有害事象が異なるとを考えると、全ての有害事象が薬剤クラスと関連するものではないことが示唆される。
これは、より安全で耐容性のある次世代化合物の扉を開く。Telaprevirの24週間の治療スケジュールに対して同等かより短い治療期間をもたらすことも競争上において魅力的である。

TelaprevirとboceprevirのPROVEとSPRINT試験はそれぞれプロテアーゼ阻害剤が新しいSOCとなる基を作ったが、これらの臨床プロファイルは未だに進化している。

例えば、PROVE試験の成功とtelaprevirのq8h投与レジメンの限界の認識を基に、Vertex社/J&J社はC208試験でBID投与と80%以上のSCR率を示したデータをAmerican Association for the Study of Liver Disease(AASLD)で報告した。

さらに、有望なフェーズ2データにより、telaprevirは非反応患者と再燃患者のような治療が難しい患者に有効である可能性が示された。

SVRは非反応患者で40%と再燃患者で治療48週間後に76%であった。

Merck社もSchering-Plough社の買収で獲得した製品である次世代1日1回投与プロテアーゼ阻害剤narlaprevirを進めている。

同剤は、患者の投薬負担を大きく軽減させることを狙いとする。

これは、よりすぐれた臨床プロファイルに達するための次世代製品の標的の変化を示す。

Telaprevirとboceprevirは現在のSOCよりも優れていることを確立したことから、新世代製品は承認や償還のために実薬対照試験で優位性を示す必要がでてくるだろうか?

これは間違いなく費用と技術的リスクをもたらすだろう。

さらに、新しい薬剤が併用試験に持ち込まれるなら、telaprevir、boceprevir、narlaprevirのどの製品と併用されるべきか?

それともポリメラーゼ阻害剤か?

インターフェロンやribavirin、またはいずれかを含むべきか?

オプションは無限大のようで、しくじったり失敗したりするリスクは現実的である。


新しいHCV製品の商業的魅力は近年におけるこの領域での取引価格で確証されている。

より多くの有力候補が臨床試験に入れば売却先候補の競争は厳しくなる。

HCVは今後3~5年間で最も流動的な市場の1つになる可能性が高い。

企業はどのようにしてこの流動的市場において彼らのHCV薬剤の価値を最良に実現することができるだろう。

慎重な市場分析と創造的な開発計画だけが新しいHCV製品を他の製品と差別化させ、市場リーダーシップへの正しい道を見つけることができる。

2010年3月15日月曜日

大日本住友製薬のIFN-αスミフェロンのC型代償性肝障害での臨床成績

大日本住友製薬製品企画部の栗原栄子氏は、09年11月のBIO Clinica(24巻13号1212頁)で天然型インターフェロンα(IFN-α)製剤スミフェロンの開発の経緯とC型代償性肝障害に対する臨床結果を概説した。

スミフェロンは80年に住友製薬(現・大日本住友製薬)が英ウェルカム(現・グラクソ・スミスクライン)社より導入し、ヒトリンパ芽球大量培養法により産生された約20種のサブタイプから構成される高純度のIFN-α(HLBI:Human Lymphoblastoid Interferon)を含有する製剤である。

IFNはウイルス感染に際して産生される糖蛋白として発見され、ウイルス感染症に対する生体の防御機構の重要な一部を担うものとして知られていた。

その後、抗ウイルス作用のみならず抗腫瘍作用をはじめ種々の生物学的作用を有することが明らかになり、80年代より癌、ウイルス治療剤として開発が進められた。
スミフェロンは、87年1月に胃癌、多発性骨髄腫の効能・効果が承認された。

C型代償性肝硬変患者に対するHLBI(スミフェロン)の有効性、安全性を検討する目的で、用法用量比較多施設共同試験が行われている。

登録されたC型代償性肝硬変患者は、用法・用量の異なる3群に層化割り付けされ、スミフェロンを投与した。

C型代償性肝硬変患者はC型慢性肝炎患者に比べて、血小板数や白血球数が低値であるうえに、IFN治療による副作用として血小板数減少や白血球数減少が認められることから、減量、休薬、投与中止は、血小板数、白血球数の減少の程度に応じて行われている。

有効性の評価は、「最大の解析対象集団(FAS)」を解析対象として行われ、主要評価項目は、投与終了(中止)24週後のHCV RNA陰性化率、投与終了(中止)時、投与終了(中止)24週後のALT正常化率、投与終了(中止)時、投与終了(中止)24週後のAST正常化率が用いられている。

投与終了(中止)24週後のHCV RNA陰性化率は、3S群22.6%(7/31)、3L群32.1%(9/28)、6S群30.0%(9/30)であったと報告されている。

各群とも20%を上回るHCV RNA陰性化率が得られており、C型代償性肝硬変であっても、スミフェロン投与よりHCVのウイルス排除が可能であることが示されている。

投与終了(中止)時、投与終了(中止)24週後のALT正常化率は、3S群52.2%(12/23)、30.4%(7/23)、3L群45.0%(9/20)、35.0%(7/20)、6S群60.9%(14/23)、43.5%(10/23)であり、AST正常化率は3S群40.0%(10/25)、20.0%(5/25)、3L群42.3%(11/26)、30.8%(8/26)、6S群51.9%(14/27)、40.7%(11/27)であったと報告されている。

また、スミフェロン投与前後のALT値の経時的推移は、スミフェロン投与中、ALT値は改善しており、投与終了(中止)後にリバウンドがみられるが、投与終了(中止)24週後には投与開始前の値よりも改善していたと報告されている。

これらから、C型代償性肝硬変においても、スミフェロン投与により肝機能を改善し得ることが明らかにされている。

スミフェロン投与前後の血小板数の経時的推移は、投与開始後2週以内の連日投与会館に最小値を示し、投与終了(中止)24週後には投与開始前を上回っていたと報告されている。したがって、投与開始後2週以内の連日投与期間では、特に注意深く患者の状態を観察し、定期的な血液検査を行うことが望ましいと考えられる。

安全性に関しては、スミフェロン投与によって89例全例に有害事象が認められ、発現件数は1508件であったが、投与中止となった有害事象は5.6%(5/89)であり、すべて投与中止後に回復もしくは軽快した。また、発現割合が高い有害事象は、発熱、血小板数減少、白血球数減少、倦怠感、好中球数減少、関節痛などであり、C型慢性肝炎患者において発現割合が高い有害事象と同様であったことが報告されている。

2010年3月13日土曜日

田辺三菱製薬のHCVプロテアーゼ阻害剤テラプレビルの国内外の臨床結果

田辺三菱製薬開発本部の山田一麻呂氏と虎の門病院の熊田博光氏は、09年11月のBIO Clinica(24巻13号1177頁)でC型肝炎治療剤テラプレビルの国内外での臨床試験を概説されていましたので、紹介します。


~以下、記事の内容を抜粋~
テラプレビル(MP-424/VX-950)は、C型肝炎ウイルス(HCV)の増殖に関与しているNS3-4Aプロテアーゼを直接阻害する新規な抗ウイルス剤である。
現在、日米欧の3極でフェーズ3試験が進行中であり、10年度までには全ての臨床試験が終了予定である。
いずれも、ペグインターフェロン(PEG-IFN)とリバビリン(RBV)との3剤併用試験であり、標準療法のPEG-IFN/RBVの2剤併用療法に比べて高い有効率と治療期間の短縮化が期待される。
C型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1b型高ウイルス量、年齢36~65歳)20例を対象としたフェーズ1b試験は、日本人を対象とした3剤併用投与(テラプレビル/PEG-IFNα-2b/RBV)による最初の臨床試験であり、薬物動態、安全性、HCV RNA動態の検討を主目的とした。

試験には、treatment naiveの被験者が10例、IFNのノンレスポンダーが6例、PEG-IFN/RBVのノンレスポンダーが4例それぞれ登録された。
投与期間は12週間に設定された。
投与開始2週間後のHCV RNA量は、ノンレスポンダーの被験者が10例登録されているにもかかわらず、50%(20例中10例)の被験者で検出限界未満(1.2Log IU/mL)になった。
投与開始4週間後のHCV RNA量は、79%(19例中15例)の被験者で検出限界未満であった。
また、被験者の背景因子(過去の治療歴、コア領域の70番と91番のアミノ酸変異、ISDRの変異)は投与開始2週間までのHCV RNA減少に影響を与えなかった。

驚くべきことに4例のノンレスポンダーのうち3例は投与開始4週間後までに陰性化し、残りの1例は8週間後に陰性化した。
有害事象による中止率は35%(20例中7例)であり、5例はヘモグロビンの減少(8.5g/dL未満)によるものであった。
安全性については、発疹等の皮膚症状のみならず貧血の管理についても十分に留意する必要がある。
現在、日本ではtreatment naive、relapser、ノンレスポンダー症例における有効性と安全性のデータが蓄積されつつある。

今後の臨床試験の進展に期待するとともに、3剤併用療法の臨床現場における有用性を最大化するために、有効性と安全性の予測因子の解明が望まれる。

2010年3月11日木曜日

中外製薬のC型肝炎治療剤ニタゾキサニドの薬理から海外臨床まで

大阪大学院医学系研究科消化器内科の林紀夫教授は、09年11月のBIO Clinica(24巻13号1188頁)で中外製薬が開発中のC型肝炎治療剤ニタゾキサニド(NTZ)の薬理から米で実施されている臨床試験までを概説し期待を述べた。
NTZは米Romark社で創製された化合物であり、寄生生物や細菌に対し広範囲にスペクトルを有するニトロチアゾールベンザミド誘導体である。
同剤はすでに海外において寄生虫による下痢症の適応を得て市販されている経口剤であり、インビトロでのHCV、HBVに対する坑ウイルス活性が確認されたことから、現在C型肝炎に対する抗ウイルス剤として、ペグインターフェロン(PEG-IFN)とリバビリン(RBV)との3剤併用による開発が進められている。
これまでにジェノタイプ4のC型肝炎患者を対象とした臨床試験では、NTZとPEG-IFN/RBVの3剤併用により79%のSVRが得られ、PEG-IFN/RBV群の50%に比べ有意に高い効果が報告され、現在は米においてジェノタイプ1の初回治療例、PEG-IFN/RBV療法に対するノンレスポンダーを対象とした臨床試験が進行中である。

同剤は小児を含め広く安全性が確認されていることから、高齢化が進む日本のC型肝炎患者に対し安全に使用できることが期待される。

2010年3月10日水曜日

世界のC型肝炎治療剤の新薬開発動向

Behrad Derakhshan医師らは10年1月22日のScrip newsでC型肝炎治療剤の新薬開発を展望した。

WHOの予測によると、世界人口の3%以上(およそ1億8000万人)がC型肝炎に感染している。この大半が東アジアである。

医師らは、患者がHCV治療が必要であるかを評価する際に複数のクライテリアを注意深く検討する。

なかでも、HCV遺伝子型とウイルス量が最も重要な要因である。


遺伝子型には6つの主要型がある。遺伝子型1型が最も多く、治療をするのが困難である。患者プロファイルに関係なく、ペグ化インターフェロンα(PEG-IFN)とribavirin(Riba)との併用療法が全ての慢性HCV感染患者の標準的ケアである。

HCV治療の顕著なエンドポイントは、治療後24週目のHCV RNAが検出不可能となることを定義とした持続的ウイルス学的反応(SVR)である。

現在の標準的ケアだと、遺伝子型1型の未治療患者でわずか40~50%、遺伝子型2/3型患者で70~80%が成功裏にSVRに達する。

アフリカ系アメリカ人の患者、進行性肝臓疾患、肝臓被移植患者、HIV感染患者、遺伝子型4型患者、標準的ケア(SOC)非反応患者、合併症患者などのサブグループではさらに治療が困難になる。

治癒率、治療期間、不良なQOLを考えると、HCV患者の10%未満しかPEG-IFN/Riba療法に耐えていないということは驚きではない。

医師または患者がより治癒率の高い新規治療薬を待ってSOCによる治療を避けるという「patient warehousing」という現象が現れている。

Canaccord Adamsは、米で40万~50万人のHCV-warehouse患者がいると予測する。

パイプラインで研究の先を行くのが特異的標的抗ウイルス療法(STAT-C)である。STAT-Cの中でNS3-4Aプロテアーゼ阻害剤とNS5B RNA依存RNAポリメラーゼ阻害剤が最も注目を集めている。

第1世代直接作用型抗ウイルス化合物で先頭に立つのがVertex Pharmaceuticals社のtelaprevirとMerck社のboceprevirである。

これらの製品はいずれも大規模なフェーズ2試験でHCV血清RNAを大幅に減少させ、遺伝子型1型未治療患者で65~75%のSVRをもたらした。

しかし、これらの製品は完璧からほど遠い。

Telaprevirとboceprevirの副作用は望ましくない。

Telaprevirはステロイドにあまり反応しない重症の発疹、boceprevirは非常に高い貧血の発症率を伴う。

また、薬剤耐性HCV菌株の発現も懸念される。

インターフェロンとribavirinがこのリスクを緩和することから、少なくとも現時点ではこれらの薬剤はSOCと連動して使用されなければならない。

Roche社/Pharmasset社の新世代ポリメラーゼ阻害剤RG7128は耐容性があり、SOCとの併用で有意な有効性を示している。


しかし、telaprevirとboceprevirが未治療患者と非反応/再発患者で水準を引き上げたため、ポリメラーゼ阻害剤の注目はプロテアーゼ阻害剤の競合製品から併用剤に焦点が変わった。

Vertex社とBMS社は、それぞれのプロテアーゼ/ポリメラーゼ併用療法の試験を10年に開始する計画をしている。

3番目のクラスのSTAT-C分子はシクロフィリン阻害剤である。最も有望なDebiopharm社のDebio 025、Novartis社のNIM811、Scynexis社のSCY-635は、SOC、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤との併用で有望な結果を示している。


GlobeImmune社のGI-5005、Intercell社のIC41、Transgene社のTG4040などの治療用ワクチンの開発も進んでいる。

クリーンな安全性プロファイルと独特の作用機構により、これらの製品も低分子との併用剤として良い候補剤である。

HCV市場で勝つ製品を生産するには差別化が必須であることは明らかである。

企業は創造的な試験デザインに努力を集中する必要がある。プロテアーゼ阻害剤を開発しているのであれば、telaprevirやboceprevoiの基準に達しなければならない。

より良好な有害事象をもたらすことも臨床的に有意義である。

また、異なるメカニズムを併用することもよいかもしれない。

サブグループを標的としたデータを確立することも製品の差別化を助ける。

HCVは今後3~5年間で最も不安定な市場の1つとなるだろう。


企業はどのようにそれぞれのHCV剤の価値を実現できるだろうか?


企業は進化する市場展望の理解を深め、独自の製品に対する冷静な見解を持つことと、KOLの客観的なフィードバックを求めることが重要である。

これら全ての市場評価は、個別化剤のための創造的な開発戦略を満たすことを支援する。

慎重な市場分析と創造的な開発計画だけが新しいHCV製品を差別化させ、市場への正しい道を見つけることができる。

2010年3月9日火曜日

ノバルティス社がデビオファーム社からC型肝炎治療剤Debio025の開発・販売権取得

ノバルティス社は、Debiopharm(デビオファーム)社のC型肝炎治療剤Debio025について、デビオファーム社から日本を除く全世界での開発・販売権を取得したと2010年2月9日発表した。
Debio025は、シクロスポリン誘導体のシクロフィリン(Cyp)阻害剤。シクロフィリンはC型肝炎ウイルス(HCV)の増殖に関る酵素の1つ。

新作用機序を有することから、C型肝炎のファースト・イン・クラスの新薬として期待されている。
未治療HCV患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照フェーズ2では、Peg-IFNα-2a+プラセボ、Debio025 1日200~1000mg、Debio025 1日1000mg単剤を投与した結果、Debio 025は有意な用量依存性の相加的抗ウイルス効果を示した。
またDebio 025は、Peg-IFNα-2aと併用することで相乗効果が認められている。

Novartis Press Release(2010.2.9)

http://www.novartis.com/newsroom/media-releases/en/2010/1381968.shtml

2010年2月18日木曜日

米ダイナバックス社のC型肝炎治療剤SD-101がP1bで良好な結果

米Dynavax Technologies社は10年1月26日、フェーズ1bで慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染治療薬候補TLR9アゴニストSD-101の用量依存的抗ウイルス効果が示せたと発表した。

また、バイオマーカーデータ解析の結果、重要な抗ウイルス遺伝子や免疫強化を示唆する遺伝子の発現上昇が示された。

ReutersによるとDynavax社はSD-101の将来の販売パートナーとなりうる企業と話し合いをしている。

Dynavax Technologies Press Release(2010.1.26)
http://investors.dynavax.com/releaseDetail.cfm?ReleaseID=440068

2010年2月12日金曜日

米インターミューン社がHCVプロテアーゼ阻害剤RG7227のP2b投薬完了

 米InterMune社は10年1月11日、C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者の治療薬でプロテアーゼ阻害剤のRG7227の開発プログラムについて最新情報を発表した。
Pegasys(ペグ化インターフェロン-α-2A)とCopegus(リバビリン)との併用におけるRG7227のフェーズ2b試験への患者登録が09年8月に開始された。このフェーズ2b試験は1日2回(600mg、900mg)と1日3回(300mg)レジメンを12週間および24週間の治療期間中において評価するようデザインされている。
 
 09年11月17日に、同社は3例の患者がALT値におけるグレード4の上昇を示し、うち1例は総ビリルビンの上昇を示したと発表している。この患者はアロプリノールを同時投与していた。これらの患者のデータを審査した後、試験の独立データ監視委員会は900mg群の中断と他の群の続行を推奨した。同社は委員会の推奨を受け入れた。残りの群への患者登録は09年11月に完了している。
InterMune Press Release(2010.1.11)

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