国立国際医療センター国府台病院は、09年10月からC型肝炎のインターフェロン(IFN)治療への応答性を患者(宿主側)の遺伝子で予測する遺伝子検査の医師主導臨床試験を行っている。
この臨床試験は、国府台病院、名古屋市立大学、東京大学など全国17施設が参加した厚労省研究班がゲノムワイド関連解析(GWAS)を行って明らかにしたIFN治療応答性と関係する宿主側の一塩基多型(SNP)が、臨床診断に利用できるかどうかを検証するためのもの。厚労省研究班では、IFN治療無効群128例と有効群186例について、90万のSNPを解析するGWASを行い、19番染色体上のインターロイキン28B遺伝子近傍にある7つのSNPが治療応答性と有意な関連があることを発見。独立して行われたオーストラリアの研究グループによる論文とともに、09年9月にNature Genetics誌に掲載された。
慢性C型肝炎に対しては、抗ウイルス剤リバビリンとペグインターフェロンを併用する治療が行われるが、C型肝炎ウイルス(HCV)のジェノタイプが1型でウイルス量が多い患者では持続的ウイルス陰性化(SVR)率は50%程度にとどまっている。ペグインターフェロン+リバビリン併用療法に抵抗性を示す患者を遺伝子検査で事前に診断できれば、高額で副作用のリスクがあるインターフェロン治療を不必要に行わずに済むことになる。
遺伝子検査の対象となるのは、インターロイキン28Bの近傍のrs8099917などのSNP。これまでの研究結果からは、このSNPがホモでメジャーであれば80%~90%はペグインターフェロン+リバビリン療法が有効と予測でき、ヘテロまたはホモでマイナーであれば90%~95%の確立で無効と予測できるという。
臨床試験は、SNPと治療応答性の関係をより多くの検体で確認し、診断薬の開発につなげることを目指す。すでにインターフェロン+リバビリン治療が有効だったか無効だったかが判明している患者1000例の検体を用いてレトロスペクティブな解析を行うと同時に、インターフェロン治療開始前に解析し、一定期間後に治療効果と突き合わせる1000例のプロスペクティブ試験も行う。患者の登録および遺伝子検査は国立国際医療センター国府台病院ですでに開始しており、今後、全国約40の基幹病院も参加する計画。レトロスペクティブおよびプロスペクティブの解析は、肝炎・免疫研究センターの正木尚彦情報センター長を研究代表者とする医師主導臨床試験として実施する。
レトロスペクティブな解析は2010年4月には終わる予定で、プロスペクティブな解析も、1・2年で結論を出して診断薬の開発につなる。すでに複数の診断薬メーカーとキットの開発について交渉中
~人気ブログランキング~
~にほんブログ村~
にほんブログ村
米国でネオアジュバント用薬が初めて正式に承認
11 年前
0 件のコメント:
コメントを投稿